「井ノ原くん」と森田さん

大きな年齢差があり、個性もバラバラなV6。それゆえ生じるメンバー同士の関わりはどの組み合わせもすごく魅力的で、相手によって6人が6人とも様々な表情を見せてくれる。
その中でも、個人的にとりわけ振り幅大きく色んな顔を見せてくれるのは、年齢順で真ん中の二人、井ノ原さんと森田さんなんじゃないかと思っている。
 
 
よく耳にする、「やんちゃで気まま、自分勝手」な森田さんのイメージは、V6、つまり6人でいる時の彼の印象なのではないかと思う。確かに大層口が悪い(笑)そして三宅さんとタッグを組んだ時のやんちゃっぷりは、今でもちょっとある意味突き抜けている。
一方でカミセンの3人でいる時の森田さんは、V6でいる時とは纏う空気がまた違う。特段お喋りになるとかそういう訳ではないのだが、三宅さん岡田さんの放りっぱなしの言葉尻をさりげなく拾ったり、やめとけお前と諌めたり。やいのやいのと小競り合いする年下二人を見遣るその眼差しの優しさに初めて気づいた時の衝撃はハンパなかった。*1
なんていうかもう、佇まいから発言から何もかもが、ただただ二人の「お兄ちゃん」なんである。あれはやばい。控えめに申し上げてもやばいとしかいいようがない。
また、トニセンとカミセン、として話す時。カミセンを代表して話す時の森田さんの言葉はどれもものすごくズドンと心に突き刺さる。ああこの人は、カミセンの「リーダー」なんだな、とすごくすごく腑に落ちるのだ。*2
 
そして井ノ原さん。V6での井ノ原さんは、軽快なお喋りでひょうきん者ポジションに収まることが多い。特にカミセンと全力でふざけあってたり、悪い事思いついてニヤッとする、NHK朝の顔が消え去るあの瞬間最高です。
一方、トニセンといる時の井ノ原さんは、どうしたの?!!と初めて見ると本気でびっくりするくらいに静かだ。もちろんお喋りしない訳ではないし、スイッチ入るといつも以上に話が止まらない時もある。ただそんな時の井ノ原さんの喋りには、ものすごい割合で「なーのくん」が登場する。「長野くん」ではない。正しく音で拾えば「なーのくん」(ここ大事)
「ちょっと聞いてる?ねぇなーのくん」「◯◯と言えばなーのくんだから」「なーのくん◯◯めっちゃ詳しいんでしょ?」等々、長野さん自身全く身に覚えのない話題まで盛りに盛って力技で絡めてくるあの手法最高である。井ノ原少年、どんだけなーのくん大好きなのよ。そして同じくらい大好きなのに、坂本くんにはやたらと厳しい。にやにやしてしまう。*3
4つ5つ上のお兄ちゃん二人を振り回し振り回され、楽しそうにしているトニセンでの井ノ原さんはほんとかわいい。大正義。
 
 
トニセンの一番下と、カミセンの一番上。V6を2両編成の電車に例えるなら、ちょうど車両と車両の連結部分にあたるそんな二人の関係性とは。
 
井ノ原さんと森田さんは2歳違い。*4初めてその事実を知った時はびっくりした。正直、お二人の年齢差はもっと離れているイメージだった。
 
森田さんは井ノ原さんのことを、「井ノ原くん」と呼ぶ。細目だのバカだの愛を込めて揶揄することはあるが、デビュー時からの基本のそれは、一貫して揺らがない。
お茶の間にこんなに彼の愛称、「イノッチ」が浸透しているというのに。どうしてなのだろう、と単純に疑問に思っていた。
 
 
井ノ原さんと森田さんのやりとりで、好きなシーンはどれ?と言われたら、私は直近でなら間違いなくコレ。とアニバコンDVDの特典映像を挙げている。
ファンからの感謝が詰まったリボンシャワー、そのサプライズ映像を正座してみていたという森田さんをからかうくだりのやり取りである。
 
(画面に映った森田さんを見ながら)
長野「(剛は)正座してるの?これ」
井ノ原「いや〜〜?あれ剛お前、(正座じゃなくて)膝抱えてねぇ?」
三宅「(からかうような顔で)井ノ原くんの教え通りね」
森田「(真顔で)こういう時膝抱えろっていう教えだから」
井ノ原「wwwwwww」
 
当然だろ何言ってんだとばかりに、「井ノ原くんの教えなんだから、その通りに俺はやっただけ」と言い放つ森田さんと、それを見て手を叩いて爆笑する井ノ原さん。
 
 
「井ノ原組」というのは、彼らの代名詞とも言える番組、学校でいこう!でも堂々と呼称として使われていた、井ノ原・森田・三宅の3人組のことである。
6人だけの車で旅をするその企画は最高に面白かった。*5そしてメンバーの名前が流れる、番組のエンティングクレジットまで傑作だった。
色々突っ込みどころ満載の通り名が並ぶ中、件の二人に割り当てられたテロップがこれである。
 
井ノ原組組長・井ノ原快彦
井ノ原組若頭・森田剛
 
この字面からにじみ出る、絶対的先輩後輩・年上年下感たるや。
井ノ原組とは、組長である井ノ原快彦と脇に控える弟分森田剛(そしてその相棒三宅健)という構成で成り立っているというのである。ジーザス!!!!
 
 
デビュー前の井ノ原さんは、やんちゃで仕切り屋で「当時のJrみんなの兄貴分」だった。森田さんのことも、森田さんがオーディションを受けたその日からずっと知っているという。
そして今よりもっとミニマムだった当時の森田さんは、道で井ノ原さんに会うたびダンスを強要され、有無を言わせずとある一曲を延々踊らされていたらしい。それも渋谷のど真ん中で。驚愕である。あの一匹狼孤高のクールボーイ森田剛を?!毎度公道で?!!踊らせる?!!!!しかも理由が「ダンス踊ってる剛の顔がめっちゃかわいかったんだよね。そんだけ。」という。なんて可愛いパワハラですかそれありがとうございます。*6
 
また珍しく森田さんが、あ〜これ覚えてる、という若かりし自分が歌って踊る懐かし映像を見ている時。そのVTRにはものすごい高確率で井ノ原さんも映っている。*7そのたび、マジかよホントどこにでもいんな井ノ原くん、と先輩Jrとしての井ノ原さんの活動歴の長さと幅の広さに驚愕する森田さんの表情が忘れられない。
 
V6としてデビューしてしばらくは、リーダーである坂本さんと衝突してばかりいたという森田さん。
グループの気持ちがバラバラだった当時、井ノ原さんは自分にできることをやろう、と「また坂本くんの密偵かよ!」とカミセンに噛みつかれながらも懸命に上二人と下三人の橋渡し役をしてくれていたそうだ。
 
 
さまざまな人が井ノ原さんのことを、親しみを込めて「イノッチ」と呼ぶ。メンバー内でも岡田さんはイノッチ呼びだ。けれどおそらく、森田さんがその名で井ノ原さんを呼ぶことは、これから先も無いと思う。でもそれでいいのだ。
なぜなら、森田さんの「井ノ原くん」呼びには、「この人には世話になった」という20余年の感謝と憧憬と、先輩に対する心からの敬意がこれでもかと込められていることを知っているから。森田さんが呼ぶ「井ノ原くん」が、そしてその呼びかけにこの上なく嬉しそうな笑顔を見せる井ノ原さんが、私は何より大好きなのである。
 
 
なお、三宅さんが呼ぶ「井ノ原くん」の魅力も森田さんのそれに似ている。*8
さらに言えば坂本さん長野さんの呼ぶ「井ノ原」の違いがとても好きだとか、岡田さんにのみまーくんひろしイノッチ呼びが許されるこの世界マジ尊いだとか、V6の互いの呼び名について語り出したらキリがない。いつかやりたい全制覇。
 
底の知れないブイ沼、あらためて最高です。こりゃ抜けらんないわ。
 
 

*1:お兄ちゃん森田剛未経験の方はぜひ歴代コンサートDVDのMC集をご覧ください。イチオシは2009カミコン、または2011セクバニWALK盤

*2:2015年8月1日放送 SONGS

*3:トニセンがパーソナリティを務めるラジオ V6 Next Generation で堪能できます

*4:井ノ原さん1976年5月17日生まれ、森田さん1979年2月20日生まれ

*5:2005年8月30日放送 学校へ行こう!MAX 夏休み九州の旅

*6:あの記憶がないで有名な森田さんが、踊らされていたその曲の名前まで覚えていたという事実に頭を打ち抜かれた。ちなみに曲はSMAPの「君色思い

*7:ちなみにそこにはだいたい長野さんも映っている

*8:ただ、三宅さんが抱く井ノ原さんへの感謝と敬意と、森田さんが抱く井ノ原さんへの感謝と敬意は、似ているようできっととても異なるだろうから、井ノ原組はとても面白くて愛しいよなぁと思う。